


【イベントレポート】全国505社が集う「よい仕事おこしフェア」で見えた、地域資源を“仕事”と“役割”に変える力 信用金庫のネットワークは、地域商社と役割人口を生み出す基盤になる
2025年11月26日・27日の2日間、東京都江東区の東京ビッグサイトで「2025“よい仕事おこし”フェア」が開催されました。全国253の信用金庫が協賛し、全国47都道府県から企業、自治体、教育機関など505社が参加。会場には478のブースが並び、各地の食品、ものづくり技術、地域プロジェクトなどを通じて、活発な商談や交流が行われました。会場を歩いて感じたのは、このフェアに並んでいるのは、単なる「商品」ではないということです。一つ一つの商品や技術の背景には、その土地の自然、産業、文化、地域課題、そして、それを何とか次の世代へつなごうとする人たちの物語がありました。
「よい仕事おこしフェア」は、東日本大震災からの復興支援を目的として2012年に始まりました。現在では、全国の信用金庫が持つネットワークを活用し、普段は出会うことのない地域企業、自治体、大学、バイヤーなどをつなぐ、全国規模のビジネスマッチングの場へと発展しています。2025年の開会式には、小池百合子東京都知事、牧野京夫復興大臣、麻生太郎自民党副総裁らが出席。華やかな鏡開きとともに、2日間のフェアが幕を開けました。信用金庫は、地域の事業者にとって身近な金融機関です。しかし、このフェアを見ていると、その役割は資金面の支援だけではありません。地域の小さな企業や活動を見つけ、その価値を全国へ伝え、企業同士の新たな関係をつくる「地域のコーディネーター」としての力を持っていることが分かります。
今回、会場には和ハッカ、国産きくらげ、飛騨高山のトマト、思わず写真を撮りたくなる紅茶など、地域の特色を生かした数多くの商品が並んでいました。また、「うどんヘルメット」のような思わず人に話したくなる商品や、現代の暮らしに合わせてデザインされた仏具、フィギュア制作や織物の技術を生かしたお菓子など、地域の素材や技術を新しい形で伝える試みにも出会いました。地域商社の役割は、地域の産品を単に販売することだけではありません。地域の中にある素材、技術、人、文化、課題を見つけ、それらを商品やサービスとして編集し、デザイン、発信、販路開拓、企業連携へとつなげることです。そして、そこで生まれた利益や仕事を、再び地域へ戻していくことが重要です。今回出会った商品からも、
「この技術を別の地域資源と組み合わせたらどうなるだろう」
「この物語をもっと多くの人に伝える方法はないだろうか」
「商品を売るだけでなく、地域を訪れたり、関わったりするきっかけにできないだろうか」という、次の可能性を感じました。
キャリアモデル開発では、一人ひとりが持つ経験、得意なこと、好きなこと、社会の中で担っている役割を「キャリアパーツ」として捉えています。そして「役割人口」とは、移住や就職を前提とせず、それぞれの経験やキャリアパーツを生かして、地域の仕事やプロジェクトの一部を担う人たちです。地域の商品やプロジェクトには、さまざまな役割があります。
商品の魅力を発見する人。
パッケージをデザインする人。
物語を取材して発信する人。
販売先を探す人。
SNSや動画で紹介する人。
新しい体験プログラムを考える人。
地域と企業をつなぐ人。
地域の中だけでは不足している役割も、全国の人たちが持つキャリアパーツとつなぐことで、新しい動きが生まれる可能性があります。その意味で「よい仕事おこしフェア」は、全国の商品を展示するだけの場所ではありません。全国各地にある「地域のキャリアパーツ」と、それを担う可能性のある人や企業が出会う、巨大な役割マッチングの場でもあるのです。
農業関係の出展者も多く、会場では私が関わっている「農業メタバース」についてお話しする機会もありました。メタバースを通じて地域の農業や生産者を知ることは、現地へ移住することとは異なる、新しい地域との関わり方です。最初はオンラインで農業を知り、次に商品を購入する。生産者の思いを発信する。子どもたちの学習に活用する。さらには、商品開発や販売、イベント運営などの役割を担う。このように段階を重ねることで、単なる交流人口や関係人口から、地域の具体的な役割を担う「役割人口」へと育っていく可能性があります。
【役割人口についてはこちらの記事をご覧ください】
→ https://careermodel.jp/media/rolepopulation
また、飛騨高山へ移住された方々からは、現地で暮らし、働く中で感じているリアルな状況を伺うことができました。商品や観光情報だけでは見えてこない「地域で生きる人の声」を知ることも、これからの地域創生を考える上で重要だと感じました。
今回、時間の都合ですべてのブースを回ることはできませんでしたが、一つ一つの出会いから、地域の課題と可能性、そして、それを仕事へ変えていく人たちの力を感じることができました。地域には、まだ知られていない素材や技術があります。
一方、都市部や地域外には、自分の経験や得意なことを誰かのために生かしたいと考えている人がいます。
いつか地域商社、信用金庫、自治体、企業、キャリアモデル開発士などが間に入り、地域の課題を小さな仕事や役割として見える化できれば、新しい地域との関わり方をつくることができるなーと想像しています。
「よい仕事おこし」とは、すでにある商品を売ることだけではありません。地域に眠る可能性を見つけ、人と人をつなぎ、一人ひとりが担える「よい役割」を生み出していくことなのではないでしょうか。出展者の皆様、貴重なお話とたくさんの刺激をありがとうございました。今回の出会いをヒントに、次の連携や新しい仕事、そして地域の役割人口づくりへとつなげていきたいと思います。





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嶋村 ユミ
一般社団法人キャリアモデル開発センター品川代表理事/品川センター長
2023年キャリアモデル開発センター品川を創業。生まれも育ちも東京品川で、現在も品川在住。就職氷河期に商社に就職。「普通のOL」として、総務、人事、経理、秘書、営業事務などを経験した後、ひょんなことからISPへ転職。その後キャリアモデル開発に出合い、仕事=お金だけではないと知り、人生で何が大切かを見直す。総合人材サービス業を経て、「働くモヤモヤ」の解消に、地域のキャリア相談所として取り組んでいく。一緒にあなただけのキャリアモデルを作りませんか。
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